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気象通報 その2

天気図帳

そういった訳で、船舶の報告です。船舶から経度緯度、風向風力天気気圧が報告されます。これをどのような船舶がどのように報告しているのかが、ちょっと気になります。常に5隻から8隻程度の船から報告されますが、多分、遠洋漁業の漁船あたりか、自衛隊の護衛艦かと推測します。しかし護衛艦は、その位置が知られるのもあまり良くないので、やはり漁船でしょうか。船舶の報告では、往々にして風向風力天気不明、気圧だけわかるみたいな報告があります。よほど大しけでもない限りわかるような気がしますが、何故わからないのでしょうか。それとも、たまにある入電無しという通信トラブルの一種なのか。しかし、人対人で通信失敗というのもあまり納得出来ません。気合いで報告していただきたいものです。

次に、漁業気象です。台風や高気圧・低気圧の位置や勢力、気象前線の位置、霧が出ている範囲、基準等圧線などのお知らせです。項目が多い時は相当早口で読み上げられますので、記録が最も難しいです。特に、前線や等圧線など線の書き方をラジオで伝えるのは、多少無理があると思います。途中通る経度緯度を何点か読み上げて行きますが、点を聞きながら、線を描くのは慣れとセンスが必要そうです。点間の距離は毎回違うし、点間がどのように曲がるのかも当然違います。等圧線などは細かく引こうとしても、情報量がちと足りません。当然のことながら、ラジオとテレビの情報量は圧倒的に違うなぁと思わされます。気象通報は天気図を描くための放送ですが、20分かけて、テレビなら一瞬で送れる情報を伝えているわけです。

かくも渋い情報を伝える気象通報ですが、来春から音声合成による自動放送になるそうです。昔ながらの渋い番組が、最新の技術で放送されるというのが、なかなかシュールです。それにしても、誰の声がベースになるのか、いやそれよりも、アナウンサー個人による聞き取りやすく、天気図を描きやすく聞かせる工夫を、上手に反映してほしいなぁと思うわけです。

アナウンサーによって、全く聞き取りやすさが違います。気温では「30℃」の℃がdぐらいしか聞こえなかったり、℃に近づくにつれて音量が小さくなる人がいます。一方、「1」とか「6」の発音を「い・ち」「ろ・く」とはっきり分けて発音してくれる人もいます。あと、ちゃんと天気図を描いていることを踏まえて、読んでくれているなぁと思うのが、高い風速の後や、天気が雨だった時の後を、少し開けて読んでくれる場合など、いや場合というか人です。

しかし、プロといえども、情報量が多い日などは、番組の残り時間が少なくなるにつれて、読み上げスピードがものすごい勢いで加速していく場合もあります。しかし、途中で切れたりすることはありません。でも、こちらが聞き取れなければ意味が無いのですが…。こういったあたり、情報量が多くても、しっかり時間内で伝えられるようになるんでしょうね。

気象通報

通報と言えば、「警察に通報した」のような使い方しか思いつかないですが、よく思い出してみると、大学時代に聞いたような気がしてきました。情報学だか通信学の授業で、「通報」と「情報」の違いについての講義がありました。通報の状態では、伝達された内容の信憑性がわからないので、情報量はまだ無く、信憑性つまり、その通報が正しい確率と合わせ、初めて意味を持った情報となるといった講義だったと思います。確かに警察への通報の段階では、信憑性の判断が全て正しく出来るわけではないので、なるほどそういうことかと思わされました。

そんな通報ですが、最近気になる通報があるのです。

午前10時の打ち合わせなどに行く際、車の中でラジオを聞いていると、不思議な天気予報をやっていることに気付きました。車が古いせいか、オートチューニングでは、以前は聞くことが出来た関西圏のラジオが全然入りません。地元局とNHKぐらいしかまともに入らないのですが、海に近い地域では、かろうじて関西圏のラジオの一部が入るようで、その局が不思議な天気予報をやっているのです。最初は聞く番組が無くて、仕方なくラジオを付けているような様子でしたが、段々ハマってきて、最近では喜々としてその不思議な天気予報を聞いております。

調べてみると、その天気予報は予報ではなく、「気象通報」というものでした。確かに予報といえる内容は台風の動きぐらいしか無く、後は観測地点の観測結果を淡々と流しているだけの番組です。観測地点も独特で、基本的に沿岸部か島嶼部のみ、しかし国際的で、北東から東南アジア、西太平洋の広範な地域をカバーしています。ルドナヤプリスタニとかセベロクリリスクとか聞いたことの無いマニアックな地名がどうにも気になって、興味がわきました。番組の最初は、「南鳥島では、北西の風、風力4、天気は晴れ、04ヘクトパスカル、31℃」のように、淡々と次々に各地点の気象状況を読み上げて行きます。

興味の無い人でも、天気予報なら聞いていられると思いますが、この気象通報はおそらく聞いていられないと思います。運転中の眠気覚ましには最も向いていない番組のひとつでしょう。しかしシンプルなものが大好きな僕は、この番組の中にいろいろと聞き所を見つけては、1日3回の放送を楽しみに待つようになりました。

まず、通報の内容ですが、各地の天気に珍しい天気があるとテンションがやや上がります。小学校の理科で、天気図の勉強は誰もがしているはずですが、ひょうとかあられ、あるいは煙霧といった、なかなか体験出来ない天気の天気図記号があったかと思います。そういうレア天気が聞けると、何だか得したような気分になるのはご理解いただけるのではないでしょうか? 実際はそんな天気はほとんど出てきませんが、霧雨ぐらいでも割とレアで、意外に嬉しいです。僕はまだ初心者なのですが、ずうっと聞いていると、レア天気はもとより、レア気圧とかレア風力が聞けるようです。例えば気圧ですが、日本に来る台風では勢力の強いものだと950ヘクトパスカルぐらいまで気圧が下がります。では世界最低気圧記録っていくらぐらいだろうと気になりませんか? 反対に最高気圧記録も気になる所です。実はこの両方とも気象通報のカバーする範囲内で発生するようなのです。低気圧では熱帯低気圧の台風系で900ヘクトパスカル近く、高気圧はシベリア寒気団で1100ヘクトパスカル近く行くようです。今は夏なので、低気圧系での記録が期待されます。(すごい台風が来そうなのであまり期待してはいけませんが…)

次にアナウンサーごとの癖が聞き所になります。退職してからの嘱託の人が多いそうですが、一定でなく様々なアナウンサーが担当しているようです。それぞれに聞きやすさを追求して読んでいらっしゃると思いますが、淡々とした内容だけに、アナウンサーの能力がよくわかるように思います。昨今のテレビのアナウンサーなどは、情報量のほとんどを映像に依存する番組にあっては、容姿など、本来のアナウンサーに求められる資質以外の部分で評価される向きがあり、日本語表現力が低下しているように思われますし、生放送や実況中継のアクシデント時などでは顕著に能力不足が現れる人もいるやに思います。その点、ラジオでは言葉と表現力で全て伝えるわけですから、アナウンス修行にはもってこいでは無いでしょうか。ラジオが勤まってから、テレビを任せるようにした方がいいように思います。

さて、気象通報ですが、最初の各地の気象の次は、船舶からの報告です。