カテゴリー : 加工室

ほこ×ほこ 再び

勇敢な工具のみなさん

1月1日に、ほこ×たてでドリル対金属の第5弾をやっていましたね。OSGの次は不二越という、もうあとは三菱マテリアルぐらいしかないという、順当な参戦でした。僕は不二越のドリル愛用者なので勝ってほしかったのですが、今回も金属の勝利となりました。金属もドリルもお互いにとんでもない硬さなのですが、こういった真っ向勝負では、やはり防御側が有利だと思います。世の中の硬い物質は限られているので、超砥粒以上の研磨剤が現れない限り、ドリル側は厳しいのではないかというのが僕の見解です。今回は超砥粒を使ったドリルで長時間ヘリカル加工するという作戦でしたが、それでも無理でした。硬い金属を削るのはそれだけ難しいということでしょう。形状がドリルでなくていいなら、回転砥石のようなもので、攻略可能だとは思うのですが…。

なんて対決を見て、元旦ぐらいは休んだのですが、2日からは仕事に入りました。SUS304の加工を父に行ってもらい、その後穴あけとねじ切りを僕がやることになったのですが、これがえらいことになってしまいました。相手がSUSなので気をつけていたつもりが、ねじ切りの途中でタップを折ってしまいました。しかもM3タップを…。父の見解では折れたタップの除去はまず不可能。ネットで見ても、絶望的な記事しか見つかりません。

こいつは正月からえらいことになりました。今年のおみくじは小吉だったのですが、なるほどさっそくそれらしい結果となりました。さすが神様はよく見ているものです。しかし、ここで諦める訳にもいかないので、いろいろ試してみることにしました。

まずハイスのエンドミルで、タップを切削する直接対決にもっていきましたが、全く歯が立ちませんでした。ネットによると、せめて超硬エンドミルを使わないと勝負にもならず、勝ったとしてもエンドミルが切れなくなってしまうということでした。超硬フラットドリルは一応1本持っているのですが、そのドリルでしか出来ない加工専用のドリルとして買ってある上、1本¥6000もするドリルなので、本当に最後の手段としてとっておきたいし、できることなら使いたくない…。というわけで、その後は古いドリルを研磨して専用工具をつくり、なんとか折れたタップを逆回しできないかチャレンジするも、ドリルが折れてしまいました。

タップは金属を楽々切れる工具鋼製な上、焼き入れが入っているという超硬い金属。しかも今回は防御側。金属勝負ではまず勝ち目がありません。そこで、ほこ×たてよろしく、こちらも研磨工具で対決を挑むことにしました。まずは手持ちのダイヤモンド砥石で勝負を挑みました。これはけっこう効果があったのですが、勝負を焦って送りを大きくしたら、工具が耐えられず曲がってしまい、使用不能になりました…。

仕方ないので、ホームセンターに行って、軸付き砥石2種とダイヤモンド砥石を購入し、勝負に投入しました。まずはダイヤモンド砥石を投入しましたが、あっという間にダイヤモンドの電着が剥がれて使用不能に…。これはもう不良品レベルの弱さで相当がっかりしました。しかたなく普通の軸付き砥石にしたのですが、これが大変有効なようで一安心。しかし、段々目詰まりして研磨できなくなってくるのと、回転中心付近の研磨速度が足りず、そこがつっかえてそれ以上進めなくなるという問題が判明しました。そこで中心付近に残る突起を別の砥石で研磨して、また掘り下げるという作業の繰り返しを敢行。1回でコンマ数ミリしか進めないのですが、それは本家ほこ×たてでもそんなものなので、しょうがないと割り切り黙々と作業を続けます。

もうそろそろ削りきるかと思った頃、軸付き砥石が急に沈み込み、砕けてしまいました。うわ、やってしまったと思い、砕けた砥石を除去したら、タップの先らしきものも一緒に出てきました。最後に削りきって、どこかに噛み込んでしまった模様です。しかしこれでようやく膨大な時間と工具をつぎ込んだ復旧はなんとか成功しました。これは本当に厳しかった。ステンレス用のスパイラルタップ1本、ドリル1本、軸付きダイヤモンド砥石2本、軸付き砥石1本を失って、折れたタップをやっと除去とは、何たるマイナス工数。せめてこれが厄落としになってもらいたいものです…。

ほこ×ほこ

予告どおり大変忙しく、サイト始まって以来の更新のまばらさですが、せめてもう少しは更新したいということで、公開しても差し支えない工具作りを公開してみます。

「ほこ×たて」という番組で、矛盾するふたつの物を対決させるという趣旨の企画をやっていますが、その代名詞になっているのが、ドリル対金属の穴あけ対決です。これはなかなか面白いと思うのですが、うちの工具作りがそれに似てなくもないので、紹介してみようかと思いました。

ある部品を加工するのに、どうしても市販の工具でしっくりくるものがありません。惜しいものは何点かあるのですがジャストではなく、しかたないので、少し改造して用いることにしました。そのベースになる工具は切削工具なので、結構どころかかなり硬い金属です。それはそのはず、硬い材料といえど、切削工具が負ける訳にはいくはずもない。ですから工具鋼や凝った表面処理を施したもの、超硬合金など、切削工具は硬い奴らのオンパレードです。

この方々に金属で真っ向勝負しても、良くて引き分け、基本的には負けることになるので、研磨で勝負するしかありません。ほこ×たての対決でも、ドリル側はこの戦略を採用しています。研磨工具から見て、肉を斬らせて骨を断つという、自らを削りながらも、相手を削るという敢闘精神に頼るしかありません。

では、切削工具対切断砥石のほこ×たて対決開始です。といいたいところですが、よく考えると両方とも切削工具の仲間なので、ほこ×ほこ対決のような気がします。だからまあ普通に決着はつくよな…と思いました。それはさておき。

対決開始
対決開始です。ご覧のとおり火花が散っております。「とろける鉄工所」によると、火花の散り方によって、含有している炭素の割合がわかるとか。火花が散った後、さらに破裂するように散っている散り方と数が多いほど、炭素を多く含んでいる、つまり硬いことがわかるそうです。さすがは工具鋼。かなりの炭素含有量です。なかなか切断砥石が進みません。この間、摩擦熱がたくさん発生し、アチチになります。アチチが過ぎると、工具の焼き入れが取れてしまうので、冷やしながら研磨します。そして無事切断完了。ほこ×ほこ対決は切断砥石に軍配があがりました。

先端を研磨
そして、先端をきれいに研磨します。これまた盛大に火花が散ります。

出来上がり
先端を丸めて出来上がり。これで作業がはかどるはず。大晦日と元旦ぐらいは休めますように…。

 

ペンシル型S極検知器を試作する

連休を利用して、弟の家族が帰ってきました。5歳の姪と1歳の甥が、家中を所狭しと走り回り、家がにぎやかになる秋の愉快な風物詩みたいなものです。帰ってくるたびに、弟とは少し技術の話をするのですが、今回の話は磁気検知器を作りたいというものでした。

弟は生産技術に関わるエンジニアなので、製品組み立て中の検査とか、出荷前の性能試験に使うジグを作っては、QCサークルのテーマにして、いろいろと業務改善を図っています。そして今回、新しいテーマとして、磁石のS極のみを検知するジグを作りたいんだそうです。

磁気センサと言っても、一般の人にはあまりなじみが無いように思うのですが、半導体の一種にホール素子という物があり、これで磁気を検知することが出来ます。旭化成がCMでやっているアレです。そのCMで言っているように、ハイブリッド車で使うブラシレスモーターを回すために欠かせない素子です。その他、今では少なくなりましたが、折りたたみ式のケータイなんかは、これを利用して開いているか、閉まっているかを判断するものもあります。

そういった風に、意外に身の回りにあったりするので、僕のような一般人にも磁気センサは手に入れられます。まだブログには書いていないですが、以前、磁気センサを使った回転数カウンターを作って、農機の一部に使用しています。ですので、磁気センサの在庫は持っています。ところが、今回必要なのはS極のみを検知する装置で、僕が今持っているのは、N極もS極も両方検知する両極検知型センサです。買う時に、S極検知型のセンサも目に入りましたが、両極検知できた方がいいよなと思ったし、片側だけ検知する用途が思いつかなかったので、迷わず両極型を購入しましたが、予想だにしなかった片極検知の用途が来てしまいました。今回は弟がS極検知型のセンサを持っていたので、それを分解して使用することにしましたが、片極型も今度買っておこうかなと思いました。

そういうわけで、弟はペンシル型のS極検知器を作りたいと、いろいろアイデアを練っているようでしたので、ちょっと製作に協力しました。弟が帰省中の実質2日しか期間がないので、あり合わせの材料で作ります。

まず、電池駆動にしないといけないので、電池ケースが必要です。素子類の必要電圧は5Vなので。4本電池を使うのでなければ昇圧回路も必要です。当然ここは電池1本から昇圧だろうということで、HOLTEXのHT7750Aを使用して、5Vを作ることにしました。ではひとまず、電池ケースを作ろうということで、削り出しに着手します。

以前から、単3電池のケースとして有望視していたのが、ホームセンターで売っているφ16mmのステンレスパイプです。内径が14.5mmぐらいなので、直径14~14.2mmの単3電池にぴったりなのです。問題はぴったりすぎて、配線など他のものを通せないことですが、ケースの端側にマイナス極を配して、ケースに電流を流せば配線が不要になり、ケースとして使用できます。という訳で、次のような部品を加工しました。

アルミ棒を旋盤加工して作った部品です。裏からM4のネジを締めて、そのネジ山に外径4mmのバネをねじ込み、電池のマイナス極を受けつつ、電池をプラス極側に押し当てる役割を果たします。

そしてステンレスパイプを切って、上記のパーツを圧入しました。当然アルミからステンレスパイプには電流が流れます。こんな感じで、電池サイズにぴったりな単3電池ケースが出来ました。

重要なのはプラス極側です。ABS樹脂を削り出してこんなパーツを作りました。軸の中心に見えるのがプラス極端子で、電池の+ー逆接続を防ぐため、凹ませてあります。円柱部分の外周を一部削って設置したのが、ステンレスパイプとの電気的な接触部です。タマゴラグを使って、そのバネ性で接触させています。同時にパイプが外れないようにする役割も持っています。この部品によって、電池ケースから電線に電気を取り出す準備が完了しました。

基板は電池ケースに合わせて、細長く仕上げました。こちら側は1.5Vから5.0Vを作る昇圧回路と、制御用のマイコンが乗っています。そして右端についているのがホールICです。ホールICの出力はオープンコレクタですが、あまり電流が取れないようだったので、PIC12F1822を介して、ややインピーダンス変換し、20mAでLEDを駆動することにしました。

逆側は、電源スイッチと表示用のLED、同時に鳴動する圧電ブザーです。何となく秋月で買っておいた表面実装用のブザーがついに役立つ時がやってきました。上記のマイコンは、このブザーを2kHzで励振する発信器の役割も兼ねています。単なるインピーダンス変換なら、シュミットトリガのTC7S14Fで済まそうと思っていたのですが、ブザーが必要だったので、ひとつだけ残っていたSOICのPICが役立ちました。

そして、基板部分のカバーです。アクリルパイプを切って、フライス盤で電源スイッチが通る部分にスリットを入れました。先端側には丸く切ったアクリル板を接着し、旋盤で外径を切削して仕上げ、サンドブラストで曇らせました。

これらを組み立てると、S極検知器の出来上がりです。すべてはめ込みで組み立てられます。基板はアクリルパイプの内径にぴったり合うように作ってあり、はめ込むだけで固定されます。オレンジに光っているのは電源ランプです。

こちらが動作の様子です。S極を近づけると、青色 LEDが点灯して、ブザーが鳴ります。絵的には地味ですが、すっきりまとまったかなと。あとは必要に応じ、弟がより改良して、実使用にこぎ着けられればいいなと思っております。

 

日本を支えるスゴイ機械 我が家編


今日の和風総本家は、定期的にある「日本を支えるスゴイ機械」特集でした。父がすごく機械好きなので、たいてい一緒に見て、感心したり、どうやって作っているのか考えたりしてます。大手メーカーの機械もあれば、地元の小さな機械屋さんの物もあります。どの機械も精緻で、よく考えられたメカです。使い勝手を考えて、細かな所まで作り込むのは、おそらく日本が世界でも指折りのものを持っているのだと信じております。

とりわけ僕は、地方の小さなメーカーが、ちょっとどころでなく、うならされるようなよく出来た機械を作っていると、感心を通り越して、感動してしまいます。IT技術も結構なものですが、やはり実体をもって、メカニズムが目に見える機械というのは、わかりやすく素晴らしい。僕は電気屋の端くれですが、制御は出来るだけ機械的に対処して、機械にはどうしようもない部分を、電気がやるのが好みです。機械で対処出来るのは、その機構がよほどうまく考えてあり、その知恵がとても美しいと思うからです。電気の分野でも、美しい制御というのはありますが、同時にディジタル制御の分野では、ごまかしも効いてしまうという側面もあります。機械でもごまかしはあるかもしれませんが、目に見えます。だからそこは抑制される。それが機械のいい所かもしれません。

前置きが長くなってしまいました。実は、テレビに出すほどではないかもしれませんが、我が家にも仕事に重宝するスゴイ自家製機械があるので、少々ご紹介いたします。我が家ではこの季節、さつまいもの収穫を行っております。さつまいもは知っての通り、地下茎植物なので、その実は地中に埋まっており、収穫作業はまさしく芋掘りであって、大変な重労働です。でも近年、収穫は機械化されています。細い鉄棒のコンベアを、さつまいもが埋まっている畝の下に差し込み、根こそぎ掘り返して、収穫していきます。

メーカーAの機械

メーカーBの機械

このような機械を、通称ポテトハーベスタといいます。割と大型の機械で、大人2人〜4人が乗って、掘られたさつまいもを木箱やかごに入れていきます。木箱一箱にさつまいもを詰めると30kg以上になりますが、これを5箱以上積んで走行出来ます。クローラ(キャタピラみたいなもの)で走行するので、接地圧は低く、スタックしません。このクローラと変速機は優れもので、左右逆回転して、超信地旋回(その場で回転)できます。戦車みたいです。おまけに箱を上げ下げするリフトまでついて、至れり尽くせり。面白い機械です。メーカーBの方は、和風総本家にも出ていました。

上の写真にある2種類、それぞれ別の農機具メーカーから販売されている機械で、シェアは99%以上を占めていると思われます。なぜ100%ではないのか?


我が家の機械

それは我が家で自主開発した機械が存在するためです。そうです、我が家の機械は父の手作りです。趣味と実益を兼ねて作ってしまいました。しかも2台目です。
さすがに、エンジンと変速機、クローラは買ってきたものですが、車体、コンベア、先輪など収穫にかかわる部分は、大きな構造用鉄板は近所の鉄工所に発注した以外、全て内製です。
木箱の大きさを比べていただくとわかりやすいですが、市販のものと比較して、一回り小さくなっています。必要十分の機能、かゆい所に手が届く仕様、自分たちの作業しやすいポジションづくりなど、我が家スペシャル仕様です。
乗車&作業ポジションが市販機と比べて、かなり低く設定されています。そのため、コンベア長が短く、低く、箱のリフトが不要です。全高が低くなり、重量が軽くなった分、燃費は半分程度、価格も半分程度で出来たそうです。我が家はそんなに大きな農家ではないので、これでジャストサイズ。車で言うとコンパクトカーの部類でしょうか。市販機は大型車の部類で、パワーがある分、処理速度を上げて、4人で対処するような大きな農家には、その方がよいでしょうね。
それにしても、父も見ていないので言っておくと、よく出来ているなぁと思います。よくこんなの作ったなと。コストパフォーマンスもいいです。僕もよく勉強しておかないといけません。機械として見るのはもちろん、メンテナンスのやり方も。僕が将来農家を継ぐ時には、自分で直さないといけませんからね…。そこが唯一の難点でしょうか?

旋盤で木を加工したいが

今日は朝から、木を削ったり、アルミを削ったりしています。木の方なんですが、鉄やアルミよりはるかに軟らかいのに、うまく削るのは難しいです。
和風総本家でよく出てくる、木を削る職人さんはすごいなと思います。あんなにキレイにはなかなかいきません。使っている刃物が違う、というのもあるかもしれませんが、 それでも曲面の仕上げなど、円熟したセンスがあると思います。

以前は木を削ると言っても、黒檀など、もはや樹脂の域にある木を削っていたので、プラスチックでも削るかのごとく、特に違和感なくやっていましたが、今回削っているのは、ハードメープル。ハードと名は付いても、黒檀よりはるかに軟らかく、キレイに切れる刃物を当てないと、表面がガサガサになってしまいます。ううむ難しい。

和風総本家に話を戻すと、あのような円熟した技をお持ちの職人さんも、後継者のいない人が少なくなく、その技が失われてしまうと危惧する人も多く、僕もその一人です。
こんな時、数ヶ月アルバイト的に雇ってもらえないかなとか、妄想したりします。いや、給料などいらない、手伝わせてほしい、その技術を見れるだけで十分だ、とかやや熱くなります。
そうは言っても、そう簡単に技術を見せるわけにはいかないと思いますが、円熟した先生方の中には、技術が失われるより、誰かに教えて方がいいと、お思いの方もいらっしゃいます。こういう時に、国外に流出してしまうと、エラいことになるわけで、なんとか国内にと思います。

新卒入社当時は、「一を聞いて、十を知る男」と絶賛された僕ですが、自分でいろいろ物を作ってみると、ああ、あの時もっと見ておけばよかった、聞いておけばよかったとか思うことはしょっちゅうあります。会社に所属していると、有形無形の資産を自分のために、いかようにも活用出来るわけで、しかも所属していると、このスーパーメリットに気付きにくいぜと、あんまり所属していない僕から言わせていただきたい。

町工場の技術のような、分散した有用な知恵を、なんとかストックできないものか。無形のものは、人間同士でないと伝えられないのか。このあたり、ITにはまだやることがいっぱいありますね。がんばってください。とりあえず僕は、うちの父から、がんばって技術を受け継ぎたいと思います。ええ。

 

international


数日前に、このページを検索エンジンにかかるように開放したのですが、その結果、多少驚くべき結果が判明しました。
特にこのページを宣伝したわけでもなく、ごく少数の人にしか存在をお教えしていないので、特段アクセス数が増えたとか、そんなこともないです。数日間の結果をもっていうのも、尚早極まりないのですが、どうもインターナショナルなうなのです。

つまり、日本人のアクセス数より、外国人のアクセス数の方が多いのです。一体何が検索エンジンに引っかかっているのでしょうか? ぱっと見多分、”S.W.A.T.”ではないかと思われるのですが、”crash”なのかもしれません。いずれにせよ、来たら日本語のページなので、がっかりして帰るか、仮に読めたとしても、中身の内容のなさにがっかりしてお帰りになるのではと、国際問題に発展しないか気がかりになります(冗)。

具体的な国は、亜米利加、独逸、宇克蘭のようです。せめて、これらの国とは友好的にしておきたいということで、何か言葉が解らなくても楽しめて、かつ日本的なコンテンツでも用意すべきだろうかとか思ってみたり、それらの国際コンテンツを、解りやすくトップに置いておくとか、マジで国際化チャレンジしてみても面白いかなと、妄想を繰り広げております。
でもここはKYOTOではないし、AKIHABARAでもないので、何がウケるでしょうか。それ以前にうっかりアルファベット表記したら、またそれを伝って、がっかりされてしまうかも。ならば、検索ワードが”S.W.A.T.”であると仮定して、本気であの”S.W.A.T.便”を探してみるとか、そんな企画をやってみようかとか思ったのですが、普通に考えて、サイト名がひっかかっているんじゃないかと思いました。

だとしたら、ここは本気で、Japonaise bricolage を見せてやろうじゃないかというのが、自然かもしれません。というわけで、最近の作で、公開しても差し支えなくて、なんだかJAPANみたいなもの…として、Qiトランスミッターをご紹介しませう。

もうそろそろ、世界的に流行ってくるかも的なものとして、挙げさせていただきたいです、ワイヤレス電力伝送規格Qi。日本人には読みづらい、Qi。「チー」と読みます。中国に於ける「気」から命名されたそうです。目に見えない「気」のようなものでパワーを伝える、といった意味合いがインスピレーションのようです。なるほど、僕もそのあたりに感化されて、その目に見えない「気」の流れを可視化したみたいに見えるように、「木」の木目を生かしてトランスミッターを作ったら、シャレが利いてるかなと思いつきました。
その「気」が「木」から湧出する点として、節の部分を使えば、木目が節を中心に広がる様子が、まさに「気」のように見えるではないかと。というわけで、木でケースを削りだして、ワイヤレスで電力を伝送する Woody Qi Power Transmitter を作ってみました。


木は中米産のボコテという、紫檀系の木です。さすが紫檀系、削るといい香りです。硬いけれども、欠けにくく、機械的に加工しやすいナイスウッドでした。最近はいろんな銘木の端材がネットで買える便利ぶりです。 そして中の回路は、TIの評価キットをベースにして、インジケータを追加しました。それと、評価キットは19±0.5Vというマニアックな電圧を要求するので、専用の電源回路を作って追加しました。上から見て凹んだ部分の下に、送信コイルがあって、そこにQi対応機器を置くと、自動的に動作します。受信モジュールには、アンバーの3WのパワーLEDをつけました。ではさっそく。


あらすごい! 木の上に物を置いたら光ったよ。という光景です。ちなみに先ほどの宣言通り、国際化に向け、Cool Japanを意識して、これから当サイトでは、物を撮影する際に、積極的に畳を背景に利用していきたい所存です。

なお、より詳しい解説をご要望の皆様に於かれましては、国際的にコメントしていただければ、解説を差し上げたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。

お部屋の壁にテレビ壁かけた


お部屋の壁は木の壁です。築40年ぐらいですけど、この不等間隔の縦線が素敵極まりないと気に入っています。今では作ろうと思っても、そういう物があるのか、探すのが大変そうな気がします。だから、壁掛けにするとはいえ、あまり壁に傷をつけたくないなあと思い、壁の後ろの枠の位置と、縦線の位置をうまく設定して、穴空けを最小限に止めました。

右の方に見えるパイン材は、父のDIYクローゼットです。そのクローゼットと、左側の窓(南向き)の間にテレビを設置しています。もともと、左奥の角にテレビを設置していたのですが、壁掛けにして随分スペースが空きました。しかし、そのおかげで、見えてほしくないエアコンのパイプと、電源コンセントが露出してしまいました。さて、どうしたものか。

とりあえず、コンセントは40年前のパネルが相当渋くて、ある意味、木の壁に合っているような気はしたものの、なんかやっぱりこのテレビと合わない気がしたので、新しいシルバー物と交換しました。テレビがT社なので、コンセントもT社に統一しました。この夏に発売されたWide-iというシリーズにシルバーがあったので、これを採用。パネルがシルバーで、コンセント本体がグレーという組み合わせは、一番メジャーなP社にない組み合わせです。このシリーズは遠く北海道の会社が、ネットではかろうじて1社扱っていたので、ちょっと送料が多めにかかりましたが、送ってもらいました。
一方、エアコンパイプの対策はまだ思いついていません。誰かいいアイデアを教えて下さい。

そして、アンテナ線もまだ未処理です。どういうわけか、電源コンセントと別の場所(右の方)にアンテナコンセントがあります。そっちから持ってこないといけません。と同時にクローゼット内に照明を設置してあるため、その電源用に、線を右側に向けて引く必要もあります。これらの配線を上手に隠したいところ。こちらは一応アイデアがあるので、作ったらそのうち公開したいと思います。


それにしても、近年のテレビは、チューナーがいっぱい積まれていて、外付けHDDに録画出来たりするらしいですね。10年前に液晶テレビを買ったのと同時に、DVD-HDDレコーダーも買いましたが、その時の不満が、テレビがいくら薄くなったところで、レコーダーの奥行きはちっとも変わらないというものでした。その不満がようやく解消できる世の中になっています。というわけで、折り込み広告を見ていたら、普段の2割引になって売られているのを発見したので、早速HDDを購入しました。やっぱり純正で、10mmしか厚さがない2.5inchHDDなのに、我が家最大の1TBを誇ります。増設も可ということで、夢が広がります。1mmのアルミ板を曲げて金具を作り、その片側を壁掛け金具に締め付けて、壁に押し付け、留めてあります。壁掛け金具の逆側は、ディスクドライブも取り付けられるように、スペースを確保してあります。あと、やはり色を統一するため、グレーの分配コンセントを買ってきて、配置しました。ここからテレビ、ディスクドライブ、クローゼットの照明に電気を供給します。

今回の壁掛けで、唯一不満なのが、金具の厚さです。純正のFPT-TA11なんですが、テレビが30mmしかないのに、金具が60mmあるので、壁からテレビが浮いてる感があり、ちょっと残念。純正金具ですが、旧型のTA11しか、このテレビ37Z3に対応しておらず、仕方なくそうしたのですが、新型金具のFPT-TA14Aは30mmなんですよね…。同じシリーズの42Z3は新型が対応品になっているのにな…。新型を買って改造すればよかったかなとか思いつつ…。

しかし、逆にこの隙間を使って面白くできないかとも思案中。例えばライトアップとか。何かしら、やってみるつもりです。

フライス盤近代化作戦・まとめ


昨今進めてまいりました、フライス盤近代化作戦が完了しました。
この近代化作戦の目標は、①ベッドの照明、②XY軸計測のデジタル化の2点です。設計・施工は、機械部分が父、電気部分が僕です。

 

①ベッドの照明

ベッドとは被切削物を固定し、XYZ軸方向に動かす台のことです。汎用フライス盤では、エンドミルがちゃんと切れているか、見ながら切削していきます。なので、エンドミルと被切削物の接点を、しっかり明るく照らしたいということで、環状蛍光灯を使った照明を製作・設置しました。設置条件として、

  1. フライス盤回転軸の径(φ100)以上、軸部分筐体の径(φ230)以下の部分に設置できること
  2. 回転軸全周囲から照明でき、かつエンドミルチャックによる影がかからないこと
  3. 切削油、切粉等の飛散に耐えられること

の3点がありました。これに対し、LED、CCFL、蛍光灯を照明候補として検討しました。

CCFL(冷陰極蛍光管)については、設置条件1を満たすサイズのものがないこと、電源装置が高価なこと、光量が不足することなどから候補を外れました。
LEDについては、設置条件2を満たすために基板の製作が必要そうです。しかも、条件3を満たすために、ケースの製作が必要で、費用が嵩みそうでした。設置自由度の高さ、電源装置の低コストさは、大きなメリットでしたが、製作とメンテナンスに手間がかかりそうだったので、採用には消極的にならざるを得ませんでした。
蛍光灯については、全ての設置条件を満たす管形蛍光灯がありました。メンテナンスも簡単そうなので、使いやすそうでしたが、唯一、電源装置が高価なことが問題でした。しかし、電源装置は点灯用インバータが余っていたので、それを流用することにして、蛍光灯案を採用することとしました。(設置は電気工事士の資格が必要です)

蛍光灯は、回転軸筐体の鉢金みたいな部分の中に入っています。筐体自身がその年季の入り様から、なんだか都市用の迷彩色みたいな様子なので、父がその辺にあったトタン板を切って、照明カバーにしたら、結構似合いました。新品の材料を使うより、断然馴染みがいいです。蛍光灯の保持は、家庭用環状蛍光灯と同じくJ型の金具です。同じくトタン板を切って作りました。

電源装置(インバータ)は写真の白い箱の中に入っています。ON/OFFスイッチはメタルタッチセンサ式です。

 

②XY軸計測のデジタル化

計測ユニットに何を使うかは、いろいろ検討しましたが、コストパフォーマンスを優先して、Mitutoyo製デジマチック測長ユニットSDシリーズを採用しました。絶対位置測定方式で、精度0.03mm、分解能0.01mm±1digit、0~450mmの測定範囲で、定価¥45,000なら異存無しとなりました。ちなみに、こちらがX軸用で、ネットをうろうろしていたら、中古を発見した物です。新品の1/5の価格で手に入れることができました。

Y軸用は0~200mmの新品で、¥13,000です。これらの測長ユニットは、父特製のステー類によって、フライス盤に取り付けてあります。測長ユニットはボールエンドを使ってズレを吸収し、フライス盤筐体の電位に影響されないように電気的にもフロートさせてあります。

X軸・Y軸合わせて¥21,000で、計画より-¥36,000となりました。

 

この測長ユニットは、ご覧の通り、デジタルノギスみたいな構造をしていて、出来ればユニット外部に測定値を表示させたいところです。しかし、純正の表示ユニットは、1軸で¥30,000と来ていたので、これはもう自分で作るしかないということで、作りました。
測長ユニットから送られてくる、シリアル信号を読んで表示します。信号は、絶対位置情報しか持っていないので、ゼロ点設定機能は、表示ユニット側に実装しました。

回路のテストの様子です。マイコンは、8bitのPIC16F1827を使用しました。表示部分は、SPARKFUNのシリアル4桁表示ユニットに、ROHMの高輝度7セグLEDで、2桁足しました。通信ケーブルはさすがに純正です。1mで¥2500で、相対的に割と高価な感じもします。しかしコネクタが特殊で、手に入りそうもなかったので購入しました。


ケースは、電子工作界で著名なタカチ製です。フライス盤で、表示部分をくり抜いてあります。ボタンは0表示用のリセットボタンです。シリコンカバーも付けました。カバーがあると手作り感が薄まる感じがします。電源は100V用のUSB電源を、照明電源ケース内に入れてあります。費用は2軸分まとめて¥4,500でした。純正ユニットに比較して-¥55,000になりました。

実測で精度確認したところ、異常はなく、使用を開始しております。やっぱり、デジタル表示は便利だなぁと。ベッドも明るくてとてもいい感じです。

安定か?

ついに我が家にも直流安定化電源が導入されました。18V/2A/36Wのシリーズ型電源です。これまでは直流は全てACアダプタから供給しており、うっかりショートさせても煙が出るまで気付かないとかいうこともありましたが、これでそんなことは無くなりそうです。ちょっぴり控えめな出力ですが、例によって中古の出物だから仕方ありません。好みのメーカーの物があっただけでも良しとすべしです。
会社員時代に、ちょいと特殊な電源装置を外注して、開発してもらったことがありました。そのメーカーの開発専任次長さんがとても素敵な方で、その方に薦めていただいたメーカーの直流電源を、その後の別の実験装置でも採用したり、ちょっとしたデスク実験用にも買ったりしていました。そして今回、そのメーカーの中古製品を、たまたまネット上で再会し、導入するに至りました。

再会したのは、フライス盤近代化作戦で採用した計測装置を扱っていたお店です。その計測装置は定価の2割のお値段でしたが、今回もやはり2割で、¥9000でした。そして計測装置はおおむね良好に動作していますが、厳しく言うとやはり中古か…という面もありました。1/100mm台の表示がちらつくのです。そういう仕様かもしれないとも思いましたが、同時期に導入した新品ではちらつかないので、やはり何らかの難があって売りに出されたのかと推察されます。そのへんはこちらもド素人ではないので、分解してメンテナンスしてやったら、だいぶマシにはなりました。値段が値段なので、直りきらないところも了解すべきかもしれません。

そういったわけで、今回の電源も何かしらあるだろうなと思いながら、開封して電源を入れたみたところ、やはり何かありました。とりあえず電圧・電流表示がちらついております…。「おまえそれでも安定化電源か!」と突っ込みたくなります。そして電圧調整ボリュームがやけに重い。なぜだろうと思ってよく見ると、アルミ材の前面パネルが歪んでいます。「なるほど、これは落としたな」と。それで表示がおかしくなって売り払ったのかと読みました。ちなみにこの電源装置は、動作させているところが動画で公開されていて、その様子を見る限り不審な様子はなかったのですが、動作は連続的に電圧を変化させるところが撮影されていて、一定電圧出力の様子はありませんでした。これでは欠点は、その動画からはわからないはずです。

まあ仕方ないと諦める前に、我が加工室で前面パネルの修復に着手しました。5mmほどあるアルミ押し出し材が5mmぐらい歪んでいるので、結構な高さから落とされたのでしょう、かわいそうに…。筐体を分解してパネルを叩き、すっかり歪みがとれました。その結果、とりあえず電圧調整ボリュームはスムーズに回るようになりました。そして電源を入れてみると、表示もまったくちらつかなくなりました。外部から計測しても電圧は安定しています。ボリュームへの機械的ストレスが原因で、指令値が微妙に動いていたのでしょうか。それにしても簡単な機械的修正だけでずいぶんご機嫌がよくなってくれました。結果としていい買い物になりそうです(もう少し経過観察は続けます)。

ちなみにそのお店に、同じメーカーの20V/80A/1.6kW電源が売っていて、これも¥9000なのですが、さすがに安過ぎ(定価は恐らく百万円近いはず)なので、どんな難が付いてくるかさすがに怖い物があり、手が出しにくいです。SPECは魅力的なんですけどね。

地場農機


さつまいもの苗植えシーズン、昨日に引き続いて苗植え台車の話題です。

さつまいもは地中に実がなる地下茎植物です。そして温暖な気候に適した、亜熱帯の植物でもあります。ですから、さつまいも栽培の要件として、地下になった実を収穫しやすく、かつ土を温かく保つ必要があります。そのために畝を作って、さらにマルチと呼ばれるフィルムで被覆します。その中に苗を植え付けて、成長させます。

苗を植える作業には、畝沿いに動く台車を使います。僕の小さな頃は台車は無く、苗を担いで、腰を屈めて、広い面積を植え付ける大変な作業でした。現在では、いろんな農機具メーカーから、様々な台車が販売されています。作物によって必要な大きさが違うので、種類は様々です。とはいえ、農業汎用の台車が多いので、細かな部分までニーズにあったものとはいきません。しかしながら、簡単な構造の物は地場に根ざした農機具メーカーが、使い勝手を考えて作った物などがあり、なかなか面白いものです。

弊社…というか我が家もそんなメーカーのひとつかもしれません。ただ、自家用なのでメーカーではないかもしれません。写真は我が家の電動苗植台車です。
フレーム、駆動系をオリジナルで設計、ギアボックス等は汎用品を使用しています。L型フレームの3輪電動台車で、全輪片持ち懸架仕様です。これは狭い畝間に対応するため、なるべく幅を狭め、かつ接地圧を下げるための構造です。4輪では端部での回頭に不便で、車体も重くなるので、3輪構造を採用したとのこと。駆動系は、フレームの強度メンバーになっている部分が多く、モノコック的な成り立ちで、強度を保ちながら重量を軽減しています。

世の中知らない所に、我が家のような台車も存在しているかもしれません。出来ればネットで見てみたいような、ネットなんかに掛かって欲しくないような。全国どこにでもある、コンビニや大手スーパーみたいなのではなく、地元資本のスーパーみたいな感じで、地元に根ざした農機具メーカーに、大手には出来ない農機を作っていてほしいなぁと思います。